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2011/04/01

初めてのお買い物・・・「VOICE」

中学1年生のときに初めてThe Beatles(ビートルズ)のアルバム「Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band(サージャント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)」を買って以来、古くはLPレコードを、20代の半ばくらいからはCDを随分と買ってきた。その数は売り払ってしまったものも多いので正確にはわからないけれど、おそらく数千枚に及ぶだろう。

その数十年にわたる購入履歴のなかで、わざわざ発売前から予約してアルバムを買うなんてことは1回もなかった。

なんかめんどくさいでしょ。

なのに、そんな私が生まれて初めてCDを発売前に予約し、購入してしまった。
3月16日に発売された上原ひろみの「VOICE」だ。

昨年の彼女のソロライブでのプレイに参ってしまったことに加えて、今回はピアノトリオで、そのメンバーがAnthony Jackson(アンソニージャクソン)(b)とSimon Phillips(サイモン・フィリップス)(ds)だという。
そのメンバーの意外性に惹かれて思わず柄でもないことをしてしまったのだ。

Anthony Jacksonは、唯一無二の素晴らしいベーシストで大いに興味をそそられるのだけれど、ドラムスがSimon Phillipsできたとは。
定石ではデニテェンとかの名前が浮かぶよなぁ。
Simon Phillipsは、幅広く活動している人とはいえ、ロック畑での活動が多いドラマーなので、ジャズ・フュージョンをメインとするドラマーとは随分と異なるテイストのサウンドになるのではないか。
と、興味深深だったのだ。

CDが来るまでは、上原ひろみのトリオアルバム「Spiral」、Anthony Jacksonがベースを勤めるSteve Khan(スティーブカーン)のライブアルバム「THE SUITCASE」及びSimon Phillipsがタイコを叩いているJeff Beck(ジェフベック)の「THERE&BACK」を聴いてイメージトレーニング。
うーん、どんなサウンドになるんだろう?

アルバムは日本の端っこ石垣島でも18日には届いた。

さそっく封を切りドキドキしながら聴いてみる。
こういう期待に胸を膨らませながらターンテーブルに盤をのっけるなんて凄い久しぶりな感覚。
なんか青春。。。

アルバムの内容はamazonにも好意的な評が多く寄せられているように、僕にとっても期待をはずさないよい出来のものでした。

トリオのメンバーはちょっと聴いただけでも誰のプレイだかわかるような個性的な面々なわけだけど、そのそれぞれの個性がぶつかりあいつつも、1つのサウンドにまとまっていることがまず喜ばしい。

Anthony Jacksonのぶっとくで、グルーブと歌心がマッチした絶妙なベースが音楽をしっかり支え、Simon Phillipsの手数とそしてバスドラの多いドラミングも音楽を躍動させるのに効いている。
そして上原節ともいえる彼女独特の作曲のセンスとプレイスタイルが充実していた。

ここ数年にわたる彼女のオリジナル・トリオ、オリジナルバンドのソニックブルーム、Chick Corea(チック・コリア)とのデュオ、ソロそしてStanly Clark(スタンリー・クラーク)のレジェンドでの活動等々で身に着けてきた様々な音楽性が、ギュッと詰め込まれたような密度の高い音楽表現だと感じた。

それは1曲目のVOICEから炸裂する。

ピアノとベースによる静かな前奏。
突如、左手で細かなパッセージを刻みながら、ピアノとベースがテーマを奏ではじめる。
テーマが展開しはじめ、それはいかにも上原らしい憂いを感じさせるもの。
また4拍子と3拍子の組み合わせを基本としつつブリッジで拍数がチェンジする細かいキメに富んだトリッキーなものであるところもいかにも上原らしい。

そこから急に4拍子と5拍子を組み合わせた印象的なベースラインにチェンジし、緊張感溢れる上原ひろみのアドリブに突入する。
このアドリブに入った時点で、既に聴いている側(つまり僕のことね)は音楽の世界にどっぷり引き込まれる。

上原のアドリブについで、ドラムのソロ。
バスドラがドコドコドコドコドコと蹴りまくられ実に痛快。
変拍子なのにそれを感じさせずにスムーズに流れるところも気持ちよい。

その後、4拍子と3拍子の組み合わせのテーマに収束し、いろいろ複雑なキメをきめつつ6分26秒の1曲目が終わるのだけれど、もうそれだけでお腹一杯といいたくなるような重量感溢れる始まり。

その後の曲も、充分にトリッキーでメロディアスで、細かくキメがきまり、まあ、とにかく緊張感が漲る。

その中で、唯一のソロ曲「HAZE」は、ドビュッシーのピアノの小品のような淡い美しい曲で、周りの楽曲群との差異もアルバム中のよいアクセントになっている。

そして最後にベートーベン・ピアノソナタ・第8番「悲壮」でアルバムの幕を閉じる。

この悲壮は、今までの楽曲群とは全く異なり、ブルージーに味付けしたリラックスしたアドリブが弾かれるもの。
全体的に緊張感漂った、ただごとではない出来事に遭遇したような気分になっている聴衆をほっとさせる楽曲だった。
「この曲を私が敬愛していた本田竹広が弾いたものを聴きたかったな、きっと似合うだろうな」なんて思いながら、僕も最後にリラックスしてアルバムを聴き終えることができた。

まあ、とにかく全体的に素晴らしい作品で、大いに気に入ったわけだど、もし1つ無理難題を言うとすれば、やっぱ、石垣島のような南国ではシリアスすぎる楽曲だよな、というところかしら。
基本的に都会的で北方系的とでもう言うのかな。
まあ、無いものねだりなんだけどね。

それにしても上原ひろみのここ数年間の活動の充実振りは凄いね。
その仕事量たるや半端ないし、質量ともに世界を代表するピアニストの一人になりつつあると言っていいんだろうね。
ますます目が離せないミュージシャンになってきたね。

久しぶりに同時代的にその活動を追いたいと思えるミュージシャンが現れたことがとても嬉しいtakeなのでした。


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