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2010/11/17

米原ビーチのサンゴの危機!

Sango_after_1
土砂流出により埋まったシコロサンゴなど1(2010年11月14日撮影)

Sango_after_2
土砂流出により埋まったハマサンゴ(マイクロアトール)など2(2010年11月14日撮影)

Sango_after_3
土砂流出により埋まったシコロサンゴなど3(2010年11月14日撮影)

米原ビーチのリーフ内のサンゴが甚大な被害を受けている。

先月の大雨でビーチに流れ込む小川が激流となり、ビーチの土砂やバラスを大量に押し流した。
その土砂にビーチ周辺のサンゴが埋まってしまったのだ。

その速報は10月28日付の八重山毎日新聞自然ガイドの大堀さんの報告として紹介されている。
私も遅ればせながら先日(11月14日)、北風が落ちた日にやっと確認しに行くことができた。

リーフ内への土砂の流入で大きく地形が改変してしまったことは、陸地からも容易に判別できたけれど、実際に水中を除いてみて、その激変ぶりに大きく息を飲んだ。

上の3枚の写真を見てほしい。
そして下の1枚の写真と見比べてほしい。

大量に流れ込んだ土砂等により、多くのサンゴが埋まってしまっていることが一目瞭然だろう。

サンゴが土砂に埋まるとどうなるか?

彼らは細胞内に光合成を行う褐虫藻が共生し、光合成で生成される物質を栄養素として生きている。
光が遮ぎられれば光合成は行うことができず、そうなればサンゴも死んでしまうということになる。
またサンゴは呼吸も行っているので、土砂に埋まれば酸欠状態になり、これも生育に大きなダメージを与える。

よく見てみると、多くのサンゴが埋まってしまっているだけではなく、埋まっていない部分の多くも緑色の藻類に覆われていることが判る。
これもサンゴの表面に降った砂が光合成や呼吸を阻害し、サンゴが弱ってしまった、あるいは死んでしまったと見ることができるのではないか。

私は、台風などで枝サンゴが折れてしまったりすることはあまり重大な問題だとは考えていない。
折れたサンゴはその流れ着いた先の環境が適していればそこでまた成長することができる。
またこの手のサンゴは成長速度が早いものが多く、流れ着いた先で3年もすればそれなりの枝状のさんご礁景観を見せてくれる。
つまり折れることは生息域を広げることにもつながっているのだ。

しかし、今回、私が取り上げている塊状のハマサンゴや葉状のコモンサンゴはちょっと違う。

彼らは一般的に成長速度が遅いとされている。
例えば、この資料によれば、枝状のサンゴが年間数十cm伸びるのに対し、コモンサンゴは概ね3cm/年程度しか成長しないという。

これから推測すれば、今まで米原ビーチにあった直径数mものサンゴ群体になるには、少なく見積もっても50年から100年もの年月が必要だということになる。

今回の出来事の深刻さは、今まで数十年から百年もの間、起きることのなかった地形改変(土砂流出)によって、長い時間をかけて健全に成長してきたサンゴ群体に致命的なダメージを与えてしまったことにある。
何十年あるは百年単位で起きなかったことが起こったのだ。。。。。。

この事実に私達はいかに向き合うべきなのだろうか。
仕方のないこととして諦めるのか。
あるいは何かサンゴの保全・育成に寄与できることがあるのか。

今回サンゴが土砂に埋まってしまった米原ビーチは、西表石垣国立公園内にあり、海中公園地区に指定されている。
その指定理由は以下の通りだ。

本地区では、礁池内の浅い場所にサンゴ群集が高い被度で広がっている。ミドリイシ類、シコロサンゴ類、ハマサンゴ類等の多種混成型のサンゴ礁生態系が見られ、魚種も豊富である。またアクセスの良さ等から市民にも親しまれており、スノーケル等による自然観察が手軽に楽しめるスポットとして利用上の価値が高い。 本地区は石垣島周囲のサンゴ礁の中でも良好なサンゴ群集が保たれ、利用者の自然探勝に適した場所であることから、海中景観の保護を厳正に図るため海中公園地区とする。(出典:西表石垣国立公園 公園計画書 

この指定理由にも示されているように、米原ビーチの優れたところは、サンゴ群集を主体とする優れた自然環境があることに加えて、その自然環境に多くの人が手軽に触れることができるところだと思う。

優れた自然環境は、この石垣島に数多くあるけれど、多くの場所では、簡単にそういう自然に接することは難しい。
しかし米原ビーチは、自然と接するスキル、すなわちシュノーケリング技術や生き物を見つけたり観察したりする技術が未熟だったり、あるいは体力が不十分であっても、それをちょっと補助、ガイドしてもらうだけで、誰でも気軽に自然体験できる場所であり、自然とふれあうためのフィールドとして絶好の場所なのだ。

このような場所が、最終的に失われてしまうことがなければいいのだけれど。。。。

現実問題としては、今回の100年確率で起こるような豪雨による被害を避けることは難しいだろう。

ただ、具体的に何が起きたのかは記録に留められないだろうか?
明らかになった知見は、その後のリーフ内サンゴ礁景観の保全・育成において貴重なものとなるのではないか?

サンゴが土砂に埋まった範囲や深さはどれくらいか?
埋まっていない場所のサンゴへの砂などの被覆の度合い、サンゴの健康度は?。
今回の土砂流出が、ビーチに流れ込む川の増水によるものなのか、その後の強風による大波等も影響しているのか?
さらにその後の推移状況もモニタリングできればモアベターだ。

サンゴなど生物系の専門家だけでなく、海岸工学など土木系の専門家にも見ていただいて、事実関係だけでも明らかにならないかなと思うのだ。

公園計画書に示されているように「海中景観の保護を厳正に図るための地区」なのだから。。。

とりあえずは、国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターの「募集!サンゴ被害状況」に報告することにしよう。。。。

Sango_before
同じ場所の半年前の健全なシコロサンゴやハマサンゴなどの様子(2010年6月)


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