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2007/01/17

ありがとう本田竹広

動画

1月12日はジャズピアニスト本田竹広の一周忌だった。
その日の夜は、ちょっと上等な赤ワインのボトルをあけ、フランスパンにオリーブオイルを浸したものをつまみつつ、本田のアルバムを流しっぱなしにし、故人を偲んだ。

「君はどんなミュージシャンが好きかい?」と聞かれたとき、マーカス、パット、マイルス、ジャコといくつかの欠かせない名前を挙げると思うけれど、どうしても欠かすことができず、とても思い入れの深い人となれば、僕にとって本田以外考えれないだろう。

それは「ANOTHER DEPARTURE」から始まる。
高く評価されることが一度もなかったアルバムだと思うけれど、僕とジャズ・フュージョンとの出会いはこのアルバムから始まった。
B面の1曲目(なつかしい言い方だよね)「LONGING」。
学生時代に友が聞かせてくれたこの曲。
あふれでる歌心とどこか日本らしさを感じさせる哀愁。
この曲に一発でノックダウンされ、それをきっかけに奥深いジャズと混迷を極めるフュージョンの世界に僕はドップリと取り込まれてしまったのであった。
そして、あれから20年以上たった今でも、その手の音楽が欠かせない人となってしまっているのだから、オオゲサでなく、僕の人生を方向付けた一人と言っていいだろう。

本田はその実力を早くから認められ、将来を期待されたピアニストであったと思うけれど、多くのジャズマンがそうであったように、セールス的に恵まれていたとはいえないだろう。

では、そのプレイが凡庸だったのかというとけしてそうではあるまい。
他のピアニストとは一線を画すしっかりとしたピアノタッチと繊細な表現力、あふれでるメロディ、いかにもダークでソウルフルな重量感、あるいはハッピィでハートフルな躍動感。それは個性に溢れ、悲しみと喜びを過剰に詰め込んだ人間臭いプレイであった。

しかし、70年代後半から90年にかけて、アルバム制作の機会にあまり恵まれず、十指に満たないアルバムしか発表できなかったのであった。

その後、彼は50歳前後で2回も脳梗塞に襲われ半身が不自由となってしまう。

しかし、ピアノを触りたい一心でリハビリをし、見事、第一線にカムバックしたのだった。

復活後は、一音一音がとてつもなく大切なもののように響くとともに、歌心溢れるプレイにますます磨きがかかり、とても説得力のある音になったと思う。
しかし、「これからどんな世界を示してくれるんだろう」と期待が高まるなか、60歳という若さで突然亡くなってしまったのであった。

彼のアルバムからまいふぇばりっとを3枚選ぶとすれば。。。

ANOTHER DEPARTURE
78年発表。冒頭に示したように、僕がジャズ・フュージョンに目覚めたアルバム。ロン・カーター(B)とトニー・ウィリアムス(DS)とのトリオ。
全編本田のオリジナルだが、歌心の才能を強く感じる曲ばかりだ。

ERTHING AIR
91年発表。鈴木良雄(B)、日野元彦(DS)のトリオ。
日野の煽り立てる、あるいは語りかけるようなドラムとその上を駆け抜け、あるいは戯れる本田のピアノが印象に残る。
日野も90年代の半ばに亡くなってしまったんだよなぁ。。。


ふるさと-On My Mind-
04年発表。童謡をテーマとした病魔からの復帰後のアルバム。
若いときには絶対に創れなかったであろう、様々な深みを感じる、しみじみと心に沁みるピアノ。
特にDISK_2の故郷~我が心のジョージアの深い余韻はなんと表現したらいいんだろう。。。。

僕だけでなく、本田の隠れファンは実は多かったらしく、彼のアルバムの復刻が続いている。9社合同一周忌追悼キャンペーンと称して、旧譜や発掘音源が一挙に復刻、発売されるというのだから、ちょっと凄いんじゃないだろか? 僕のライブラリーにも、よもや手に入るまいと諦めていた数枚が新たに加わることになった。

これからも本田を、あるいはジャズ・フュージョンを、僕は聞き続けるに違いない。そして音楽の中に喜びや悲しみを重ね、新たな感動を得ることができるに違いない。
そんなきっかけを与えてくれた本田竹広。豊な人生をありがとう。

PS
 記事をアップできずにもたもたしていたら、今度はジャズ・フュージョン界の至上のテナー奏者、マイケル・ブレッカーの訃報が届いた。本田の命日の翌日、1月13日に57歳の若さで亡くなったという。僕にとっては、ブレッカーブラザースから始まって、最もCDを回した数の多いテナープレイヤーだった。ステップスのころの、スモーキン・イン・ザ・ピットパラドックスは今でも興奮しながらよく聴くし、7年ほど前、ブルーノート東京でみた、この世のものとも思えない邪気迫るプレイが忘れられない。心からご冥福を祈る。
毎年1月12日、13日は当分の間「○○を偲ぶ日」としてお酒を飲むことになりそうだなぁ。。。

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コメント

僕はピアノに生かされている

・・・かっこいいっすねぇ^^

まことに左様でございます

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